風立ちぬは技術者魂が現れたよい作品だった

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やっと見る機会があったのでナイトショーで見て参りました。なかなかよい映画でした。

主人公は堀越二郎という実在した航空技師。関東大震災や第二次世界大戦前などのひどく生きにくい時代で彼の生涯を描くという位置づけの映画。

事前情報としては、４分間の宣伝映像と、テーマソング。宣伝映像は最後のヒロインが吐血しているシーンが実に印象的。それにテーマソング「ひこうき雲」のサビ終わり『あの子の命はひこうき雲』・・・・。もう何が起こるかはおわかりでしょう。

序盤は飛行機アニメ、中盤にヒロインとの愛、そして終盤に技術者として長年温めていた設計を実現しながら、嫁との大事な日々を過ごす、という構成で理解した。

飛行機への愛

かなり「技術者魂」というものが描かれていたなあというのが強い印象。序盤は飛行機への愛がよく分かるシーンばかりでグッと来た。設計図を見て、ブワーっと飛行機が頭のなかにイメージできる感じ。

本庄の「俺たちは10年は遅れているぞ」が、ドイツに来たあとは「俺たちは20年は遅れているぞ」になっていて、焦りもよく伝わる。飛行機の中を見せたがらない、技術を盗まれたくないドイツ。いろいろなものがせめぎ合っている。

度々主人公の夢のなかに現れる、あこがれのカプローニが言っていた、「クリエイティブでいられる期間は10年だ（うろ覚え）」というセリフ。なにかモノを作ろうとする人々に取っては残酷だったり焦りを覚えたりする事実。

里見菜穂子の命

ヒロインは里見菜穂子（CV.瀧本美織）。ジブリのヒロインは皆じつによい。

震災のときぶりにヒロインに会ったあと、帰りににわか雨の中で「あなたは私の王子様だと思っていたの」という発言、実にジブリ的な積極的で強い女を感じた。

キスシーンも多く、布団に夫を誘うなどアダルトな恋愛描写も多い。強い愛。

ヒロインが、自分が結核であると伝えたとき、「とうとう来たな」と思った。「昔は不治の病だった」という話は中学の歴史の授業で散々聞かされたので、悲しい結末が一瞬で想像できてしまい緊張感が走った。

その後菜穂子は結核の治療に専念するために山の病院に移ったが、すぐに二郎のもとに戻ってきてしまう。そして結婚し、病床で二郎の帰りを待つ日々。結婚式、美しかった。

美しいうちに愛する人との時間を精一杯過ごして、死期を感じて山に帰ってしまったところで(´；ω；｀)ﾌﾞﾜｯ これがこの映画のクライマックス。

その他

「にいにいさま」。妹萌えに目がない人間にとってはかなり美味しいんじゃないだろうか。終盤で医者になって再開した時も、ちゃんと礼を重んじながら挨拶するも、相変わらず可愛らしいおかっぱで兄の呼び名も変わっていないところがまた可愛らしい。

あと問題の庵野秀明の演技だが、非常にムラがあった印象。グッとくるところもあったが、「なんだこれ」と思う瞬間も少なくなかった。

いつかの金曜ロードショー（猫の恩返しの回）で、風立ちぬの、庵野というキャスティングが決まるまでのメイキング的な映像が流れていて、これが面白かった。

パヤオと鈴木敏夫が「庵野で行こう！」となったときの他のスタッフの呆れ顔が面白い。